「茄子といえば新潟ですよね。
深雪茄子(みゆきなす)の浅漬けは最高。
特に小ぶりの茄子は、丸かじりに限ります。
残念なことは、1年中食べれないことですかね。
季節ものなので」
ところで映画は、スペイン・アンダルシアをステージにしたプロの自転車ロードレースムービー。
主人公のぺぺ・べネンヘリは、チームのエースを勝たせるためにライバルをふるい落とすアシスト役。
ところが、コースに猫が飛び出しエースは転倒のリタイア。
チームのためにアタック(逃げ)をしていたぺぺは、エースがいなくなりサポートカーの監督に「勝負だ」と言われたものの、その日は猛暑、気温45度、湿度32%、もう体力の限界……ただ、今日は兄のためのレースなのだ。
監督は宮崎駿のジブリ作品『風立ちぬ』や『もののけ姫』で、作画監督を手がけた高坂希太郎。
自転車で兄にかなわなかったぺぺ。
兵役中、恋人カルメンまでが、兄へかたむいてしまった。
スポンサーには「首にしろ」とまで言われている。
ここで良いところ見せなかったら失業だ。
そんなぺぺだが、故郷の兄やカルメンをはじめ、親戚、知人そして地元のファンからは絶大の人気である。
ぺぺの活躍を自分のことのように喜ぶ人たちなのだ。
しかし、丘の上に立つスペインのシンボル黒い雄牛は、ぺぺのことを冷静に見守っていた。
ぺぺは雄牛の見守りに、応えるかのように敬意を。
黒い雄牛は看板であり、新潟・十日町にもある。
2018年「大地の芸術祭」に、スペインのビジュアルアーティスト、サンディアゴ・シエラが出展したのだ。
今でも黒い雄牛は、異郷の田園風景を見守る十日町のシンボルとなっている。
・兵役中に3人で会った時のぺぺは、不機嫌そのもの
・故郷で兄やカルメンたちが待つ観客の前では、顔を上げることなく猛スピードで 通りすぎた
・兄やカルメンが見守るレース結果の発表の時に現れたぺぺは、けわしい顔そのもの
昔のペペではないと
ぺぺは、プロの仕事をした。
誰からも尊敬されるプロのレーサーになったのだ。
ゴール手前2km、あと1km、500m、200m、あと100m、直線に入った。
まだぺぺは1位を死守。
時速60km、後続の追い込みすごすぎ。
横一直線、団子状態。
あと50m。
「ゥオオオー」「ゥオオオー」選手たちは鬼の形相、地面が揺れる。
「ゥオオオー」「ゴぉール……」。
写真判定。
「1717 『V』」
それでは、さよならサヨナラ。
監督・脚本 :高坂希太郎
出演者 :ぺぺ・べネンヘリ(大泉洋)カルメン(小池栄子)
原作 :黒田硫黄
実況アナンサー:羽鳥慎一
歌 :忌野清志郎
公開 :2003年7月26日
上映時間 :47分