少年 アシタカの名言3選
❶生きろ…そなたは美しい
エボシ御前からアシタカに助けられたサンは、「人間を追い払うためなら生命(イノチ)などいらぬ」とい言い放ったのだ。
その後、瀕死(ヒンシ)状態のアシタカは「生きろ…そなたは美しい」と名言を。
サンは思わず「オーッ」と“びっくりクリクリ栗きんとん”状態に。
本作のメインテーマでもある「生きろ」だが、タタラ場のトキさんも「生きてりゃなんとかなる」と夫・甲六に言っている。
どんな状況でも“生きろ”ということ、死んだらおしまいなのだ。
タタリ神にに呪われたタタラ場の長は、「生きることはまことに苦しくつらい…世を呪い、人を呪い、それでも生きたい」と、全身包帯姿になりながらも語っていた。
生命を雑に扱うサンは分かっていないが、育ての親であるモロやモロの子に対し、並々ならぬ愛情を注いでいる。
森を愛する他の動物たちにも同様に。
また、アシタカはシシ神に生かされ、サンにも“生きろ”と食物を口移しで食(ショク)され、思わず感情を抑えきれずに涙している。
“曇りなき眼”を持つアシタカは、サンの姿形ではなく、純情な心や森を一途に愛するところが“美しい”と感じたのだろうか。
生きろ、サン!
❷曇りなき眼(マナコ)で見定め、決める
エボシの「そのツブテの秘密を調べて何とする」と問われての返答。
アシタカは、エミシ村のヒイ様に鉄のツブテを見せられ「曇りなき眼で物事を見定めるなら、その呪いを断つ道が見つかるかも知れぬ」と言われていたのだ。
エボシは製鉄所を経営することにより、世間から見捨てられた男女を雇い、“生きる”希望を持たせていた。
アシタカはそんなエボシの事情が分かり、複雑な心境。
なぜなら製鉄所を維持するにには、森林を伐採しなければならないからだ。
サンに怒られる……。
❸まだ終わらない。私たちが生きているのだから
サンの「もう終わりだ。なにもかも。森は死んだ…」の言葉を受けての返答。
さすがアシタカだ、エミシ村の長になるべき人だった、だけのことはある。
未来は、私たちが担っていくんだという覚悟が感じられる。
とにかくアシタカとサンが最初にするべきことは、人間の手でシシ神に首を返すこと。
アシタカは強い口調で「力を貸しておくれ」とサンに頼んでいる。
最初は断っていたサンであったが、アシタカの説得に一気に心を開き協力したのだ。
アシタカは、もう完璧に大人の行動、人間として出来上がっている。
すごいぞ、アシタカ!
少女 サンの名言4選
❶シシ神がお前を生かした。だから助ける
シシ神の池で、息を吹きかえしたアシタカへの言葉。
森の神であるシシ神がアシタカを助けたということは、人間だけでなく、森にとっても必要な人物なのか。
アシタカは、“自然と人間の共存”に欠かせない人。
だって、サン(自然)とエボシ(人間)の仲裁役だからね。
「うーむ」納得。
❷かあさん、ここでお別れです。わたし乙事主さまの目になりにいきます
母に対し、サンの別れの言葉。
今まで森を守ってきた乙事主は、白内障で目が見えない。
それでも最後は、人間に対し意地の真っ向勝負。
そんな乙事主を見捨てられないサンは、目の役割を買って出たのだ。
サンよ、美しい。
❸だまれ!わたしはヤマイヌだ
アシタカに「そなたも人間だ」と言われての返答。
人間でありながら人間を否定しているサンが、虚しくもあり悲しい。
サンはモロへの生贄のため、人間に捨てられたのだ。
捨てた人間は、エボシなのでは?
というのは、サンとモロがエボシに対し異常なほど憎しみを抱いているということ。
かと思えば反省からの行動か、タタラ場でのエボシは、人間から見捨てられた女や病人に対し、必要以上に優しく気にかけている。
さて、真相は。
❹アシタカは好きだ。でも人間を許すことはできない
アシタカとサンがシシ神に首を返した結果、森が蘇った。
のだが、アシタカとサンに別れが訪れたのだ。
サンがアシタカに送った嬉しくもあり悲しい名言である。
アシタカの返答は、「それでもいい。サンは森で、わたしはタタラ場で暮らそう」と、また「共に生きよう。会いにいくよヤックルに乗って」とも言っている。
サンは、アシタカ以外の人間をまだ、敵と思っている。
母のモロをはじめ、乙事主も人間に殺され、そのうえ森の神であるシシ神の首まで、石火矢で吹き飛ばされたんだよね。
それにしても、サンとアシタカが分かりあえてよかった。
遠距離恋愛だけど、アシタカはサンと、ヤックルは山犬に会えるからね。
難題はあるが、とりあえずパチパチパチ。
山犬神 モロの名言2選
❶だまれ小僧!
アシタカがモロに「あの子を解きはなて、あの子は人間だぞ」と強い口調で言い放ったときの返答。
その後、モロも強い口調でアシタカに「お前にあの娘の不幸がいやせるか」、「お前にサンが救えるか」と言い放ったのだ。
モロの言葉は、サンに対しての愛情だけでなく、憐れみまでも伝わってくる。
またモロは、「森を犯した人間が、わが牙を逃れるために生まれたばかりのサンを投げてよこした」ともいう。
ところで、モロ役・美輪明宏の声、迫力満点。
カッチョイイ。
❷アシタカ…お前にサンが救えるか
モロがアシタカにサンを託した言葉。
アシタカが「あの子を解きはなて〜」と言ったときは、「だまれ小僧!お前にサンが救えるか」と否定的な口調だった。
しかし、今回は好意的な言葉となり、アシタカにお願いしている。
モロは最後の力を振りしぼり、タタリに呪われた乙事主からサンを助け、シシ神の池で気を失っているアシタカに上記の言葉を伝えたのだ。
アシタカはサンだけでなく、モロからも信頼を得たということだね。
僧侶 ジコ坊の名言2選
❶天地(あまつち)の間にあるすべてのものを欲するは人の業(ごう)というものだ
アシタカがジコ坊にシシ神の首を返してほしいと言ったときの返答。
シシ神の首は不老不死と言われており、強欲の果てが何をしてもいいという考えなのか。
ましてや、シシ神を仕とめたのはエボシであり、ジコ坊自身は手を染めてないよねー。
トホホッ、欲もホドホドニしようねー。
❷いやぁー、まいった まいった。バカには勝てん
ジコ坊は、アシタカのことを良い意味での、バカと表現している。
世の中、欲の塊の人が多いはずなのに、バカがつくほど正直なアシタカは、いろんな苦難に出会ったりもしたが、結果的に成功している。
「映画だからとは、言わせたくないですよね」。
あとがき
本作は、糸井重里のキャッチコピー「生きろ」がメイン・テーマなんでしょうね。
“自然と人間の共存”とも思えるが、そんな単純でもなさそうだ。
結局、人間は利益や欲求のために戦ったり、主義主張のために争ったりしている。
動物とて例外ではない。
イノシシ、山犬、猿らも対立し、最後は死へと向かう。
「そこで登場するのがアシタカのような人物、仲裁役なんでしょうね」。
現実社会も決して他人事ではない状況。
どんな困難の中でも無駄死にはダメ、“生きろ”ということ。
サンとアシタカの最後は、遠距離恋愛で幕を閉じたが、サンの「アシタカは好きだ。でも人間を許すことはできない」の言葉が、前途多難を物語っている。
どうする、アシタカ……。
未来は、自然の代表サン、そして人間の代表アシタカに託されたのだ。
それでは、さよならサヨナラ