少年 アシタカの名言8選 (声:松田洋治)
❶ いい村は女が元気だと聞いています

タタラ場の女性たちは、通夜をしていたアシタカを見に来て言いたい放題。
たまらず牛飼いの頭領が発した「エボシ様が甘やかしすぎるんで」に対しての返答。
普通はタタラ場に女性はいないはず、鉄を汚(ケガ)すので嫌がるらしい。
しかしエボシ御前が率いるタタラ場は、女が主役。
男は常にタジタジ。
❷ みすみす死ぬな 退くも勇気だ。森へ帰れ

サンがエボシ御前を狙ってタタラ場に現れたものの、エボシの罠を見抜いたアシタカはサンに踏み止(トド)まるよう説得している場面。
しかし、サンは強行突破……結果はいかに。
❸ この娘の命は 私がもらう
エボシ御前とサンの戦いに割って入ったアシタカの言葉。
エボシに「その山犬を嫁にでもする気か」と、からかわれても、みすみす殺されるサンをほっとく訳にはいかない。
そして、タタラ場の人たちに「これ以上憎しみに身を委ねるな」と言い放ったのだ。
アシタカは、サンとエボシの和解を願って仲裁をしているのであって、どちらの味方でもない。
❹ 生きろ…そなたは美しい

エボシ御前との戦いでアシタカに助けられたサンは、「死など怖いもんか!人間を追い払うためなら生命(イノチ)などいらぬ」とい言い放ったのだ。
その後、瀕死(ヒンシ)状態のアシタカは「生きろ…そなたは美しい」と名言を。
サンは思わず「オーッ」と“びっくりクリクリ栗きんとん”状態に。
本作のメインテーマでもある「生きろ」だが、タタラ場のトキさんも「生きてりゃなんとかなる」と夫・甲六に言っている。
どんな状況でも“生きろ”ということ、死んだらおしまいなのだ。
タタリ神にに呪われたタタラ場の長は、「生きることはまことに苦しくつらい…世を呪い、人を呪い、それでも生きたい」と、全身包帯姿になりながらも語っていた。
そして、「死など怖いもんか」と強気の発言をしていたサンも、シシ神に生かされたアシタカに対し“生きろ”と乾き物を口移しで食(ショク)させている。
思わずアシタカは、感情を抑えきれずに涙。
そんな“曇りなき眼”を持つアシタカは、サンの純情な心や森を一途に愛する姿が“美しい”と感じたのだろうか。
生きろ、サン!
❺ 曇りなき眼(マナコ)で見定め 決める
エボシに「そのツブテの秘密を調べて何とする」と問われての返答。
アシタカは、エミシ村のヒイ様に鉄のツブテを見せられ「曇りなき眼で物事を見定めるなら、その呪いを断つ道が見つかるかも知れぬ」と言われていたのだ。
エボシ御前はタタラ場を経営することにより、世間から見捨てられた人たちを呼び寄せ“生きる”希望を持たせていた。
アシタカはそんなエボシの事情を把握しため、複雑な心境。
なぜならタタラ場を維持するにには、森林を伐採しなければならないからだ。
サンや自然の動物たちは、黙ってない。
どうする、アシタカ。
❻ まだ終わらない。私たちが生きているのだから

サンの「もう終わりだ。なにもかも。森は死んだ…」の言葉を受けての返答。
さすがアシタカだ、エミシ村の長になるべき人だった、だけのことはある。
未来は、私たちが担っていくんだという覚悟が感じられる。
とにかくアシタカとサンが最初にするべきことは、人間の手でシシ神に首を返すこと。
アシタカは強い口調で「力を貸しておくれ」とサンに頼んでいる。
最初は断っていたサンであったが、アシタカの説得に一気に心を開き協力したのだ。
アシタカは、もう完璧に大人の行動、人間として出来上がっている。
すごいぞ、アシタカ!
❼ 森とタタラ場 双方生きる道は ないのか?
エボシの「シシ神殺しをやめて侍殺しをやれというのか」に対しての返答。
タタラ場が襲われているのに、森の神殺しを優先しているエボシ。
アシタカは、エボシだけでなくモロにも投げかけている「森と人が争わずにすむ道はないのか」と。
「これ以上憎しみに身を委ねるな」は、重要。
❽ シシ神は死にはしないよ。生命(イノチ)そのものだから
「シシ神は死んでしまった」に対しての返答。
さらに、アシタカは「生と死二つとも持っているもの。私に生きろと言ってくれた」と続けたのだ。
本作のシシ神は、不老不死で生と死を司る鹿神。
ちなみに、福岡市の志賀島(シカノシマ)にある志賀海神社には、鹿の角が一万本、神として祀られている。
東北では、鹿踊(シシオド)りの風習がある。
なので、鹿の首を石火矢で撃つなんて論外。
少女 サンの名言4選 (声:石田ゆり子)
❶ シシ神がお前を生かした。だから助ける

シシ神の池で、息を吹きかえしたアシタカへの言葉。
森の神であるシシ神がアシタカを助けたということは、人間だけでなく、森にとっても必要な人物なのか。
アシタカは、“自然と人間の共存”に欠かせない人。
何故って、アシタカはサン(自然)とエボシ(人間)の仲裁役だからね。
「うーむ」納得。
❷ かあさん、ここでお別れです。わたし乙事主さまの目になりにいきます

育ての母・モロに対し、サンの別れの言葉。
今まで森を守ってきた乙事主は、白内障で目が見えない。
それでも最後は、人間に対し意地の真っ向勝負。
そんな乙事主を見捨てられないサンは、目の役割を買って出たのだ。
美しい、サン。
❸ だまれ!わたしはヤマイヌだ
アシタカに「そなたも人間だ」と言われての返答。
人間でありながら人間を否定しているサンが、虚しくもあり悲しい。
サンはモロへの生贄のため、人間に捨てられたのだ。
捨てた人間は、エボシなのでは?
というのは、サンとモロがエボシに対し異常なほど憎しみを抱いているということ。
かと思えば、タタラ場でのエボシは、人間から見捨てられた女や病人に対し必要以上に優しく気にかけている。
さて、真相は。
❹ アシタカは好きだ。でも人間を許すことはできない

サンが初めてアシタカに告白した場面、嬉しくもあり悲しい名言である。
アシタカの返答は、「それでもいい。サンは森で、わたしはタタラ場で暮らそう」
そして「共に生きよう。会いにいくよヤックルに乗って」とも言っている。
サンは、アシタカ以外の人間をまだ、敵と思っている。
母のモロをはじめ、乙事主も人間に殺(アヤ)められ、そのうえ森の神であるシシ神の首まで、石火矢で吹き飛ばされたんだからね。
それにしても、サンとアシタカが分かりあえてよかった。
遠距離恋愛だけど、アシタカはサンと、ヤックルは山犬に会えるからね。
難題はあるが、パチパチパチ。
山犬神 モロの君の名言2選 (声:美和明宏)
❶ だまれ小僧!

アシタカがモロに「あの子を解きはなて、あの子は人間だぞ」と強い口調で言い放ったときの返答。
その後もモロは、強い口調でアシタカに「お前にあの娘の不幸がいやせるか。森を犯した人間が、わが牙を逃れるためにを投げてよこした赤子がサンだ。人間にもなれず山犬にもなりきれぬ哀れで醜い、かわいい我が娘だ。お前にサンが救えるか」と言い放ったのだ。
モロの言葉は、サンに対しての愛情だけでなく、憐れみまでも伝わる。
モロ役の声優・美輪明宏、スゴイ迫力。
カッコいい。
❷ アシタカ…お前にサンが救えるか
モロがアシタカにサンを託した言葉。
モロは最後の力を振りしぼり、タタリに呪われた乙事主からサンを助け、シシ神の池で気を失っているアシタカに上記の言葉を伝えたのだ。
アシタカが「あの子を解きはなて〜」とモロに言ったときは、「だまれ小僧!お前にサンが救えるか」と否定的だったが、今回はお願いしている。
そしてサンが「かあさん、ここでお別れです」言ったシーンで「お前には あの若者と生きる道もあるのだが…」と、サンの行く末を心配しての発言も。
アシタカはサンだけでなく、モロからも信頼を得たということだね。
老巫女 ヒイさまの名言1選 (声:森 光子)
❶ 誰にも運命は変えられない。だが ただ待つか自ら赴(オモム)くかは決められる
タタリ神になったナゴの守(カミ)と戦ったアシタカは、呪いをもらったため、ただエミシで死を待つのではなく、西の国へ旅立つことを決意。
なぜなら、「その地に おもむき曇りのない眼(マナコ)で物事を見定めるなら あるいは その呪いを断つ道が見つかるかも知れぬ」と、ヒイさまに教わったからだ。
これも定めか、アシタカ。
牛飼い 甲六の名言1選 (声:西村雅彦)
❶ すげぇ シシ神は花咲(ハナサカ)じじいだったんだ...
甲六の目の前で焦土化した野山が、あれよあれよと芽吹き花が咲き出したのだ。
思わず上記の名言を。
エボシが石火矢でシシ神の首をはねると野山は焦土化し、アシタカとサンが直に首を返すと野山は甦(ヨミガ)ったのである。
シシ神の生命の授与と奪取が眼前で起きたということ。
すげぇ!
冷静沈着な エボシ御前の名言1選 (声:田中裕子)
❶ 怖いものは もののけより 人間の方だからね
シシ神殺しに行くエボシに対し、タタラ場の女性たちが「私たちもお伴(トモ)させてください」や「せっかく石火矢を覚えたんだから」と発言した返答が上記。
エボシは、留守の間タタラ場を侍たちから守ってもらいたいのが本音。
そして、「シシ神殺しが済んだらいろいろわかるだろうよ」と人間の怖さを暗示させている。
確かにサンは敵と分かるが、石火矢衆やジコ坊そして唐笠連は、味方でありながら信用できない。
エボシの人生経験を垣間見たようだ。
僧侶 ジコ坊の名言3選 (声:小林 薫)
❶ 人界は恨(ウラ)みを残した亡者(モウジャ)でひしめいとる。タタリというなら この世はタタリそのもの
アシタカのイノシシがタタリ神になったという話を聞いての返答。
そして、戦(イクサ)、行き倒れ、病(ヤマイ)に飢(ウ)えが理由だということ。
とにかく、争いはやめよう。
❷ 天地(あまつち)の間にあるすべてのものを欲するは人の業(ごう)というものだ
アシタカがジコ坊にシシ神の首を返してほしいと言ったときの返答。
シシ神の首は不老不死と言われており、強欲の果てが何をしてもいいという考えなのか。
ましてや、シシ神を仕とめたのはエボシであり、ジコ坊自身は手を染めてないよねー。
トホホッ、欲もホドホドニしようねー。
❸ いやぁー、まいった まいった。バカには勝てん
ジコ坊は、アシタカのことを良い意味での、バカと表現している。
強欲の世の中で、バカがつくほど正直なアシタカは、いろんな苦難に出会ったりもしたが、結果的に成功している。
「映画だからとは、言わせたくないですよね」
あとがき
本作は、糸井重里のキャッチコピー「生きろ」がメイン・テーマ。
“自然と人間の共存”とも思えるが、そんな単純でもなさそうだ。
結局、人間は利益や欲求のために戦ったり、主義主張のために争ったりしている。
動物とて例外ではない。
イノシシ、山犬、猿らも対立し、最後は死へと向かう。
「そこで登場するのがアシタカのような人物、仲裁役なんでしょうね」
現実社会も決して他人事ではない状況。
どんな困難の中でも無駄死にはダメ、“生きろ”ということ。
サンとアシタカの最後は、遠距離恋愛で幕を閉じたが、サンの言葉「アシタカは好きだ。でも人間を許すことはできない」は、前途多難を物語っている。
どうする、アシタカ……。
未来は、自然の代表サン、そして人間の代表アシタカに託されたのだ。
それでは、さよならサヨナラ