『縄紋』真梨幸子著 殺人鬼・獄中から洗脳 読み出したら止まらない

 

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縄紋

思わず目にとまり、手にすることに。

真梨幸子

プロフィールには、1964年宮崎県生まれ。
多摩芸術学園映画科卒業とある。

2005年『孤虫症』でデビューとも記されている。

表紙は「縄文族 JOMON TRIBE」
タトゥー:大島 托

つい、表紙買いをしてしまった。

ところが後日、「本の雑誌」(2023年12月号)を、たまたま見たら、「図書カード三万円使い放題! 第74回  真梨幸子」と、特集記事があるではないか。

場所は
於 ジュンク堂書店池袋本店 (2023年10月2日)とある。

ところで何を購入したのだろうかと読みすすむと、

・『絵でよむ江戸のくらし風俗大辞典』(16,500円)

・『ビジュアル・ワイド 江戸時代館 第2版 』(9,790円)

・『[コンパクト版]世界の神話伝説図鑑』(4,180円)

と記してあった。

迷いはありません」とのこと。

なぜなら、「私は幼少期から「事典」とか「図鑑」に弱いのです」と。

また、著者はこんなことも

「だって事典や図鑑は、私の「やる気スイッチ」でもあるから。

大切なネタ帳でもあるから。

ネタに詰まると、必ずページを開きます。

するとネタが向こうから飛び出してくるのです。

まさに、ドラえもんの四次元ポケット。

いつでも私を助けてくれる。

これがなくなったら、小説家を廃業するしかありません」と。

ゴン
ゴン
そもそも縄紋ってなんですか? 

縄紋とは、植物繊維で撚(ヨ)った縄を土器の表面に押し当てたり、木の棒に縄を巻き付け、転がしたりしてできた縄目の文様のこと。

名付け親は、大森貝塚を発見したモースなんだよね。

表記も、最初は「索紋」次に「縄紋」そして現在の「縄文」に落ちついたようなんだ。

モースが言うには、縄文土器は「限りない文様のバラエティーを持つ」と。

 

フリーの校正者・興梠大介(コオロギダイスケ)は、自費出版の校正*・校閲*を引き受けることに。

題名は『縄紋黙示録』。

校正* : 誤字脱字の確認

校閲* : 内容の矛盾や地名、固有名詞などが事実と錯誤していないかを確認する作業

また、ゲラに添付されていた指示書には、「預言書」と記されていた。

予言」ではなく。

つまり、神のお告げを伝えること?

gon
gon
なんだなんだ、縄文の話ではないのか?
もしかして、著者は『世界の神話伝説図鑑』を購入するくらいだから、このジャンルが好きということ?

ところが先を読みつづけると、縄文人骨が千駄木貝塚で発見、そして「千駄木一家殺害事件」などと、ミステリーらしくなってきた。

さらに読みすすむと、著者の蘊蓄(ウンチク)が次からつぎへと続く展開。

例えば、
縄文時代は、今よりも海水面が高く、埼玉県の大宮あたりまでが東京湾だったとか。

縄文時代は、女性優位の社会だったなど。

なぜなら土偶は、ほとんど女性をモデルにしているから、と。

ヤマト政権は、東日本に住む昔ながらの縄文人を「蝦夷(エミシ)」と呼んでいたなど。

ゴン
ゴン
映画『もののけ姫』の主人公アシタカは「蝦夷」出身なんですよね 

ヤマト政権といえば「天照大神(アマテラスノオオミカミ)」は、八世紀初頭、政権を揺るぎないものにするための、創造された女神だとか。
また、日本神話の最高神と言われ、皇室の祖神とされている、など。

ゴン
ゴン
田舎の床の間には、「天照大神」や「天照皇大神」の掛け軸を飾っている家がありますよね 

あと神社が次からつぎへと。

文京区にある根津神社をはじめ、大宮の氷川神社、そして、さいたま市緑区にある氷川女体神社など。

それに、文京区白山の小石川植物園内にあったとされる神社なども。

とにかく561頁ある文庫本が、あっという間に読み終えてしまう。

蘊蓄も身につき「なるほど、こういう結末なのか」と、納得の一冊。

縄紋黙示録』の担当編集長いわく、
この作品は、仕掛ければ売れる見込みがある。装丁と帯次第ではミリオンだってー」と。

それでは、さよならサヨナラ。

追伸
殺人鬼、獄中から洗脳。
読みだしたら止まらない。