吉野源三郎『君たちはどう生きるか』考察 おじさんのNote6選

ものの見方について


人間は、いつでも自分を中心に、ものを見たり考えたりするという。

子供のころは特に強い。
でも、損得勘定になると大人も負けていないけどね。

そこでコペルニクス風に発想の転換が重要ということ。

コペルニクスは天動説(太陽が地球の周りを回っている)が世の常識の時代に、地球が太陽の周りを回っているという地動説をとなえたんだ。

ゴン
ゴン
常識を疑うことも必要なんですね 

コペル君は、銀座のデパートの屋上から見た光景が、自分は広い世の中の一分子と感じたという。

ゴン
ゴン
15歳の発想じゃないですよね

それで叔父さんは、コペルニクスの発想に匹敵すると感じたので、あだ名を「コペル」にしたんだ。

大人になっても自己中心の主観的な考えを持ちやすいのに、客観的に物事を見る少年は、やはりコペルなのかな。

でも、コペル君に負けないくらいすごい人がいるんだよね。

ゴン
ゴン
大谷翔平でしょ

いや、その名は将棋棋士藤井聡太なんだ。

藤井棋士は、コペル君が15歳の中学生のときには、もうプロ棋士になっているんだよね。

14歳と2ヶ月でプロ棋士だからね。

そして、21歳で前人未到の8冠制覇を成し遂げたんだ。

そんな将棋の世界は、自分の指し手だけではなく、相手の手順も考え尽くさなければならい、盤上の格闘技と言われているんだ。

というのも、スポーツ雑誌 『Number 』の表紙を飾るくらいすごいんだよね。

ここぞの場面では、一手指すのに1時間、いや2時間も長考するからね。

例えば1四の金を指したとしたら、相手がどうくるか何十手・何百手と先を読むという。

つまり、はっきり言えることは、将棋に限らず自己中心の考えだと、投了まちがいなしということ、だね。

真実の経験について


ある日コペル君の友達、浦川君がクラスの山口君にいじめられていたんだ。

それを見ていた北見君が、もう我慢できないと見かねて山口君をボコボコにやっつけたんだよね。

ところが浦川君は、北見君の背中に抱きついて「北見君いいんだよ。そんなにしないんでも、いいんだよ」と一生懸命とめていたんだ。

コペル君は感動だよね。

北見君の勇気ある行動もすばらしいが、それ以上に浦川君の行動には。

どこまでも優しい浦川君の気持ちが表現されている。

そこで叔父さんいわく
いろいろな経験を積みながら、いつでも自分本心の声を聞こうと努めなさい、ということなんだ」と。

人間にとって経験は大事、迷った時の道標(ミチシルベ)になってくれるから。

つまり先人の教えは重要、経験者だから。

古典を読みなさいというのも納得。

特に「君たちはどう生きるか」は、おすすめ。

中学生で読んでいるかいないかでは、その後の人生が、全然ちがうはず。

大人になって読んでも、得るものはあるけどね。

是非、読んでほしい一冊




人間の結びつきについて ーなお、本当の発見とはどんなものかー


コペル君は、叔父さんからニュートンの話を聞いて覚醒してしまった。

話というのはニュートンが、リンゴの木からリンゴが落ちるのを見て、万有引力を思いついたという有名な話。

ニュートンは、リンゴが10メートルいや100メートルと、どんどん高くし何千、何万メートルの高さを越え、あの月まで行ったらどうだろうと考えたんだよね。

地球上では、重力の関係でなんでも落ちてくるけれど、太陽を中心に公転している地球や彗星(スイセイ)などは、太陽の引力によって落ちないんだ。

そこでニュートンのすごいところは、宇宙の引力と地球上に働く重力が同じ性質のものだと、実証したことなんだ。

ニュートンは天高く追いかけていったことにより大発見があったように、物事はとことん深掘りをすると意外な世界が見えるんだよね。

前置きが長くなってしまったけれど、コペル君は赤ん坊のときに飲んだ粉ミルクのことをとことん考えたら、「生産関係」を見てしまったというんだ。

オーストリア産の粉ミルクは、コペル君の口に入るまでに、たくさんの人間が出てくるんだよね。

牛を世話する人、乳をしぼる人、それを工場に運ぶ人、工場で粉ミルクを作る人などを経由して、日本へ運ばれ、店に納品となるんだけどね。

結局、オーストラリアからコペル君の家へ着くまでに何千人あるいは何万人もの長いリレーをしているということ。

でも知っている人は、せいぜいスーパーの店員ぐらいなんだよね。

これは、粉ミルクに限らず洋服や他の食料品もみんな共通していることなんだ。

実は、これを生産関係と言うんだけどね。

ところが全世界、人間は繋がっているけれど、友達の輪じゃないんだよね。

人間らしい(相手に対し思いやりや、優しさを持った人)関係ができていないということなんだ。

ゴン
ゴン
だからよその国と戦争になったりするんですよね 

だからといって人間らしい関係がすぐできるかといえば、かなりハードルが高く難題だということ。

gon
gon
自己中心の強い国が存在する限り困難かも……

せめて自分の周りから、人間らしい関係を広げていくことが大切だよね。

家族、兄弟、友達と,,,,,,。




人間であるからには ー貧乏ということについてー


今回の「
おじさんのNote」はコペル君に対して、厳しい口調で書いている。

一番、強調したかったのだろうか。

実はコペル君の父は、叔父さんを病床に呼んで、コペル君を立派な人間に育ててほしいと頼んでいたんだ。

そういう父は、もしかしたら嫌な人間をたくさん見たのだろうか。

それで、息子だけにはそんな人間になってほしくはないと願ったのでは,,,,,,。

そこで人生経験豊富な叔父さんがコペル君に伝えたかったことは、何不自由なく勉学に励める環境に感謝をし、もっともっと才能を伸ばし貧困の人たちにも光が当たるよう、世の中のために役立つ人間になってほしいということなんだ。

例えば家庭環境の違いによる貧富は、子供たちには何も関係ないということ。

なのに貧しい人をさげすんだり、見下したりする心の貧しい人が子供に限らず、大人になってもいるんだよね。

しかし、貧しいからといって引け目を感じることはないということ。

コペル君の友達・浦川君は、登校する前に家の豆腐屋を手伝っているよね。

浦川君は、消費だけをしているコペル君とは違い生産側にいるということ。

この世の中で何が大事かというと、生産関係の消費する側ではないんだ。

食べ物や衣服そして芸術などは、労働の結果、生みだされるということなんだ。

つまり労働なくしてこれらを味わうことはできないということだよね。

なので高級車のベンツに乗っていたり、高級なタワーマンションに住んでいようが、人間的にダメな人はだめということ。

見た目じゃないということだよね。

コペル君は、まだ学生なので生産者側に行く途中であり、ガツンガツンと勉強をして叔父さんのようにT型人間*になればいいんだ。

T型人間 :
Tの横を「視野のひろさ」、縦を「専門性」に見立てている。学校で横線をしっかり勉強し自分で考えることを常にしている人は、これぞというテーマを見つけたときに深く掘り下げることができる。

コペル君 ファイト!




偉大な人間とはどんな人か ーナポレオンの一生についてー


著書の中にある偉大な人間の定義によると「
英雄とか偉人とか言われている人々の中で本当に尊敬できるのは、人類の進歩に役立った人だけだ。彼らの非凡な事業のうち真に値打ちのあるものはただこの流れに沿って行われた事業だけだ」とある。

ところでナポレオンは何を成し遂げたのか。

やはり一番の功績は「ナポレオン法典( 私有財産の不可侵や契約の自由など)を定めたことだね。

日本は明治維新のとき、「ナポレオン法典」を模範に民法を作ったんだ。

それに皇帝になるまでの奮闘的の生涯、勇気、決断力そして意思の強さは学ぶべきことだよね

例えば有言実行は、できそうで困難でもあるよね。

意思が強くないと継続できず、三日坊主で終わってしまう。

ゴン
ゴン
言うは易く行うは難し」ということですね 
権太
権太
座右の銘にします

ところがナポレオンは、皇帝になると権力欲強くなり、多くの人を苦しめる人間になったんだよね。

そのひとつが、1806年に皇帝に逆らうイギリスを経済で打撃を与えようと大陸封鎖(ヨーロッパ全体にイギリスとの自由貿易を禁じた)を発したんだ。

ところがイギリスは海外貿易を一手に独占していたため、困ったのはヨーロッパ大陸に住む何千万人の人々だったんだよね。

自給自足だけでは、人々の生活を賄(マカナ)えなかった、ということ。

それで、あえなく失敗に終わっただけでなく、何千万人からの恨みを買ってしまったんだ。

さらに追い打ちをかけたのがロシア遠征(敵を討つために遠くまで行くこと)の失敗だよね。

ナポレオンは、勝手にイギリスとの貿易を再開したロシアを攻め、モスクワまで連戦連勝と追い詰めたものの、まんまと焦土戦術(モスクワの街、すべてを焼き払う)にあい、撤退を余儀なくされたんだ。

さらに季節が冬だったため、60万人の兵士は飢えや凍死で壊滅状態に陥ったんだよね。

そして、その60万人の兵士には家族や友達があり、何百万人もの人々が、決して諦めきれない、つらい涙を流した、ということなんだ。

結局ナポレオンは、有害な人物になってしまった、ということ。

ゴン
ゴン
権力欲が悪い方向に舵を取ってしまったんだね

ところで、日本の歴史上の人物は、はたしてどうなのだろうか。

例えば織田信長、豊臣秀吉、徳川家康は、何を成し遂げたのだろうか。

NHKの朝ドラ『らんまん』の主人公・槙野万太郎こと牧野富太郎は、『牧野日本植物図鑑』を残しているが……。




人間の悩みと、過ちと、偉大さについて


おじさんのNote」の最後は、コペル君にとって最大の山場(ヤマバ)がきたよー。

コペル君は、友達の北見君、水谷君そして浦川君を裏切ってしまったんだ。
指切りまでしたのに。

悩んでナヤンデなやんで学校には行きたくない、死んでしまったら……とまで悩んだ、コペル君。

ゴン
ゴン
何があったかは本を読んでくださいね

コペル君は「人間の行いというものが、一度してしまったら二度と取り消せないものだということを、つくづく知って、本当に恐ろしいことだと思った」と記してある。

そしてコペル君は、悩んでなやんだあげく叔父さんに話したんだ。

友達との約束をやぶってしまった、経緯を。

そのあとの叔父さんからのアドバイスや北見君への手紙は、思わず涙ぐんでしまうほどの内容なんだよね。

確かに、約束を破るなどの道徳心からの後悔はつらいだろう。

なので、過ちは素直に認め、謝るしかない。

言い訳は自分の価値を下げるだけだもんね。

しかし悩んだ経験は、決して無駄じゃないんだ。

これからの人生で、深みのある人間となり、人間として偉大になれるんだよね。

大物よォ!

ここで昭和時代に活躍した作家、野坂昭如より、つぶやきがあるよォー。

さーて、と。

ソ・ソ・ソクラテスか
プラトンか
ニ・ニ・ニーチェか
サルトルか
みんな悩んで大きくなった
大きいわァ 大物よォ
おれもおまえも 大物だァ
そうよ 大物よォ

参照 :
サントリーゴールド900「大物」
CMソング

gon
gon
いいねー 

以上で「おじさんのNote」は終了。

今度は、コペル君が叔父さんのようにノートに感想を書くと宣言したよー。

そこでコペル君は、父さんの最後の希望である人間として立派な人間になってもらいたいという、一番心を動かされた言葉を受け、考えてみたんだ。

コペル君は何を記したかというと「自分はいい人間になって、いい人間を一人この世の中に生み出す」と。

そして「僕はすべての人がおたがいによい友だちであるような、そいう世の中が来なければいけないと思います。人類は今まで進歩してきたのですから、きっと今にそういう世の中に行きつくだだろうと思います。 そして僕はそれに役だつような人間になりたいと思います」と言っているんだ。

要するにコペル君の理想は、消費するだけでなく本人が成長することにより他人に影響を与え、人間関係を築くことにより争いもなくなる、そいう世の中のことだよね、コペル君。

gon
gon
パチ パチ パチ パチ 友達の輪! 

最後にコペル君から一言。

ところで、あなたはどう生きるのですか

んー……」。

それでは、さよならサヨナラ。



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