『拝啓、本が売れません』 額賀澪 著 作家は○○○小説を書くべし

『拝啓、本が売れません』

「出版業界の人でしたら手にするでしょうね、この本は。
本が売れなくて困っていますから。
特に雑誌。
電子書籍は、伸びていますけどね……」

著者と担当編集者が「本を売る方法」を探し求め、出版業界と異業界を取材する物語




 

取材をする前に、作家と編集者が本を作り上げ書店に並べるまでの工程を紹介しよう。

1.作家と編集者の打ち合わせ(顔合わせ)

2.プロット
設計図、要約のこと。キャラクターのビジュアルもここで固める。

3.執筆

4.改稿
書き上がった原稿を編集者がチェック。第1稿、第2稿……と完成に向かう。

5.ゲラ刷り(校正刷り)
原稿を本のレイアウトに実際に落とし込んだもの。
この場面で校閲者が、誤字脱字、文法上の間違い、そして時代背景の事実確認などを行う。
プルーフという見本誌を全国の書店に配るのも、この場面。
感想を本の帯に活用する。

6.装幀
ゲラが本の中身とすると、装幀は本の外見、カバーを作ること。

7.書店に並ぶ
装幀が終わり本が出来上がると、ようやく書店に並ぶ。
営業、宣伝、販売といった部署は、販売促進のために走りまわる。
重版(最初に印刷された本を初版と言い、初版の在庫が少なくなりもう一度印刷すること)を目標に。
作家や編集者はメディアのインタビューに出向いたり、サイン会など書店まわりをする。
作家の印税は印刷部数によって決定。

 

いよいよ「本を売る方法」の答えを見つけに、取材決行。

ゴン
ゴン
さて、編集者は

送り届けるべきところに送り届けなければ、何万部刷ろうと意味はない」という。
要するに、ターゲットを決めて編集することだと思う。
表紙がイラストの本は、学生や若者に届ける。
『週刊文春』『週刊新潮』は中高年に届けるなど。

ゴン
ゴン
次に書店は

書店員の目利きである」という。
確かに限られたスペースへ、あふれる本を陳列しなければならない。
新刊は平台に山積み、お奨め本は平台または棚のゴールデンラインに面陳。
さらにPOPを付けて販売促進。

本は再販(再販売価格維持制度)により、全国同一価格で販売されている。
そして、新刊委託制度により一定の期間内であれば返品は自由。
買切りなど例外はあるけれど。

そのため出版社から取次ぎ経由で書店に、毎日のように本が搬入される。
目利きがきかないと売れる場所に売れる本を陳列できないため、売り損じを発生させてしまい返品の山となる。

ゴン
ゴン
そして、Webコンサルタントは

バナー・リスティング広告でテストマーケティングを行い、ターゲットを絞る」という。
ターゲットを把握してから予算をつぎ込み拡大させる。
Webの強みである。

額賀は作品だけでなく、額賀本人を知って頂くために『額賀澪公式サイト』の作成を提案をされたという。
書店の取材では、作家のプロフィールを顔写真付きで棚に並べていたが、同じ役割をしている

ゴン
ゴン
映像プロデューサーは

映像のボーダーラインは本の売り上げ30万部、エンタメ性が高いもの、マニアックなものより楽しめるもの」という。

読者は情報があふれすぎて、何が欲しいのか分からなくなっている。
オススメ、提案して欲しい」という心情。

詩人、茨木のり子いわく「自分の感受性くらい 自分で守れ ばかものよ
キツー……

ゴン
ゴン
ブックデザイナーは

デザイナーは本の顔を作っているわけだから、どれだけ書店の棚で目立つものを作れたか、どれだけ手に取りたいと思えるのを作れたか、しっかり向き合わないといけない」という。
本の表紙、カバーの大切さを力説している。
映像プロデューサーもカバーに惹かれて手に取るらしい。
私も『拝啓、本が売れません』の表紙に目がとまり、題名で手に取ってしまった。

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感情を揺さぶられた、ということ

今回「本を売る方法」の取材を覗き見した結果、答えは全員共通していた

作家は○○○小説を書くべし!あとは、我々にまかせなさい」と。

それでは、さよならサヨナラ。

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